わずか三ヶ月の間に脱退と引退を見送ることになった話

 趣味をたくさん持っておくと、拠り所が多くなって精神的に楽になりますよ。まあ、よく見るフレーズだ。関ジャニおじさんとフィギュアスケートを中心に色んなものを楽しんでいる私は「わかるわかる~!」とニコニコしていた。過去形だ。

 まずは以前あった話をしておく。関ジャニおじさん、フィギュアスケート、そしてモーニング娘。というのが私の中での三大ジャンルだ。ある年の冬、これに属する人たちを身体的トラブルが襲った。それも、一気に。「安田章大が腰痛でダウン」「ほええ」「佐藤優樹がヘルニアでダウン」「んええええ」「羽生結弦がインフルでダウン」「ホギャーーー!!!???」まあ鬱々としてしまったよね。普通につらい。わ、私が悪いのか!? と思わずトチ狂った。自意識過剰だった。

 まあでも生きてればこういうこともあるよね! 私も彼らも生身の人間なんだからな…。しっかしこんなに重なることなんてもう二度とないだろうなw と草を生やし、回復した彼らを見てホッとしたのだった。

 

 今年の夏に渋谷すばる関ジャニ∞を脱退する。そのニュースを見てから、涙が出なくなってしまった。ずっと目がカラカラ。「未来を応援したいな」と「寂しい、行かないで」は一人の人間の中で矛盾せずに両立しちゃうんだな、ということを知った。受け入れようが受け入れまいが、じりじりとカウントダウンは進んでいく。ドライアイが半端ない。

 つらいな。そう思いながら、逃避と癒やしのためにフィギュアスケートの動画を再生する。

 町田樹エキシビション白夜行」はとても好きなプログラムだ。昔ドラマで見たあの物語の空気感が再現されていて、少し苦しくなるから癒やしに向いているかどうかはわからない。でも、どうしても見たくなる時があるプログラムなのだ。

 この演技から数年が経ち、現役を退いてもなお町田は哲学をもってプロスケーターとして活動している。その姿に、本当にこの人はすごい…と何度も驚かされてきた。

 町田樹の現役引退発表は本当に突然で、全日本選手権の後に行われた、世界選手権代表発表の場で「突然ではありますが」と引退宣言。代表として選ばれていた世界選手権も辞退という形をとった。あの時は思わず錯乱したっけな。未だに「突然ではありますが」がトラウマなんだよなぁ。そう思いながら、他の動画を再生し始める。ドライアイは進む。

 そして六月半ばに、町田樹のプロスケーター引退が報じられた。

  思わず錯乱した。ちなみに渋谷すばるの件の発表を見た時のリアクション第一号はこちら。

  人間、脱退や引退を突きつけられると人語を話せなくなる。

 

 フィギュアスケートだけ好きな方の一部は「はあ?ジャニーズなんかと一緒にすんな」って言うかもしれないんですけど、まあそれは別に正直どうでもよくて、渋谷すばるの歌も町田樹の表現も、私の中に大きなものとして存在しているんですよね。それは他人にどうこう言われたからといって変わるものではないんですよね。

 ま~~~~~~~~~~~ね生身の人間を応援していれば、その姿を見られなくなることもあるし、またどこかで見られるようになることがあるのもわかる。わかってる。元KAT-TUN担なので。でも、どうしてもつらいんだな。そう感じてる自分に嘘はつけない。

 偶然にも私の大好きな、何かを極めんとする人たちが、今立っている表現の場から離れる。私の心には穴が二つ開いていて、他の何かではそこを埋めることはできない。趣味をいくつか持っていても、こういう時の穴は埋まらない。空っぽになった部分を抱えて生きていかなければいけない。思えばジャニーズを好きになったのも、友達が亡くなったときそのつらさを覆い隠すようにして…という感じだった。でも、友達へのまた会いたいよという気持ちはずっと残っているし。

 生きてくってのはこういう、喪失感でできた穴ぼこをいっぱい作っていくことなのかもしれないな~~~~~~~~~。なんて考えながら、今はまだ、現実逃避をしていこうと思います。

 

 じっげんげっが~(Aの嵐)趣味を複数持つのはメンタルにいいけれど、同時に何かあった時のやばさがすごい!!!!!!!!!!

渋谷すばる

 変わったな~、って思ってました。誰よりもミュージシャン志向でありながら、頻繁に自分がアイドルであること、ジャニーズであることを口にする。ファンが喜ぶキメ顔を見つけたら頻繁にやって会場やテレビの前を沸かす。笑顔が増えて、事務所から怒られるような態度も減って。

 あれは彼のアイドルとしての「余生」だったのだ、きっと。ロスタイム・オブ・ジャニーズ。

 音楽やりたいって言ってた人のために、楽器なんてやったことなかったメンバーまで演奏を覚えて、ギターが変な音出したり打楽器ぜんぜん聞こえなかったり鍵盤の和音がグチャってなったり、そんなのも越えてみんなで音楽やろうぜって頑張ってフェスにも呼んでもらえて、この人たちを見てるのが本当に楽しいなワクワクするなって思ってたところで、発端になった人を音楽そのものにNTRれるとかあると思う?

 いや、正直ちょっと思ったことはあった。ずっと前に彼がバンドを組んだとき、バンドという存在にどんどんのめり込んで、いつかいなくなってしまうイメージが浮かんでいた。そのことで彼のファンと喧嘩になったりもした。あのとき私が疑ったりなんてしなければこんなことには、とありもしない因果を考えてしまう。

 じたばたしたって何も変わらない。わかっている。私は元KAT-TUN担なので。でもどうしてもじたばたしてしまうんだよな。だからこそ、余所様に何かあったときにせめて私たちだけでも無神経なことを言わずに行こうな、と思う。全く関係ない人や嫌いな人のファン相手だって、せめて塗り込むのは塩じゃなくて傷薬の方がいいじゃないか。例え私たちが人から優しくしてもらえなくたって。

 応援はする、理解もする、だけど諦めろって言われたら無理。そういう気持ちをズルズル引きずりながら、8人時代も7人時代も抱えていくしかないのだ。地球は回るし仕事は行かなきゃいけないし、旅行に行けば景色は綺麗だけど関ジャニ∞には彼がいないんですよ。そんな切ないことあるかい。それでも、生きねば、生きねば。

 歌が上手くて、Tバックと下ネタが好きで、口下手で誤解されまくって、カメラ回ってるとこで思いっきり屁をこいて、いかついビジュアルの時もクシャクシャな笑顔になれば愛嬌があって、仲間という歌詞にめちゃくちゃ力を込めて歌って、大好きだけど別れるとか言ってメンバーを悲しませて、それなのに背中を押させてしまう、自分勝手で、最高で、それが私の知る彼の全て。

 

 赤西仁はジャニーズ時代のことを「前世」と呼ぶ。NEWSは「一度死んでまた生き返る そんな魔法をかけられていた」と歌った。

 新しい道を進む彼の来世は、ジャニーズとしての自分を一度死なせて生き返る、星と同じ輝きを持つ、彼の名前は。

ジャニオタ、ハイローに出会う

事前知識

  • 知ってる人名は琥珀さん、九十九さん、コブラちゃん、スモーキー
  • コブラちゃんがなんともトゥーマッチな姿で生コンを飲まされる
  • 九十九さんは車が駄目

 

「見なよ~絶対ハマるって~」とオススメされてしまったので、翌々日にdtvでシーズン1を全部見、その翌々日にシーズン2とムビ1とレッレを見てしまいました。

 

ここまでで得た知識

  • めっちゃ回想多い
  • 意外と人が死なない
  • 琥珀さんは殴ると直せる
  • SWORD地区のポピュラーな挨拶は「アァンゴラ」「ッンノガテメ」
  • 走り出す時には「ウルェァーーーー」と叫ぶのが作法
  • オルルァオルルァしてても銃が出てくるとさすがにビビる
  • 山王にはドジっ子が多い
  • テッツの顔がいい
  • コブラちゃんは意外と変な人だった
  • ホワイトラスカルズは笑い上戸
  • 「ロッキーの思い出焼きそば」の意味
  • 関の笑顔 守りたい
  • 雨宮兄弟ってこういうキャラなんだ~!?
  • 明かりをつけたり消したりする儀式
  • 達磨の曲聞いてると関ジャニおじさんのキングオブ男を思い出す
  • 家村会が主にバイキンマンみたいな役回り
  • キリンジのキョロ充オーラ
  • ノボル朝ドラで悲惨な死に方してたから生きててよかった…

だいぶ賢くなった(脳を焼かれながら)。ちなみに一気見のあと熱が出たので本当に脳を焼かれた可能性があるぞ。

あと「っていうか428の加納出とるやんけェ!!!!!」という驚きもありました。LDH所属なんだね…!? Wikipediaの役名表記に笑う。

 

映画まだやってるからぜひ見てきて!と教えてもらい、ザム2はひとまずすっ飛ばしてザム3に臨みました。赤いニット着て行ったから達磨の女だと思われたかもしれない///

 

感想です

  • やっぱり最初に立木さんがだいたいのことを教えてくれる
  • 琥珀さんイメチェンしとる…
  • 琥珀さんはスムージーを知っている
  • 琥珀さんによるコブラちゃん救出、あれ下手したらコブラちゃんの前歯逝かない?
  • キャスト何これ金かかっとるのう~~~~~~~~!!!!!
  • 爆破セレモニー
  • 爆 破 セ レ モ ニ ー
  • ワチャワチャしてて爆弾の解除に失敗する映画初めて見ました
  • 「間に合わなかったか…」じゃねえよ
  • 刀持ちのターミネーターこわい
  • この人推そうかな…って思った瞬間にああなるのやめてほしい
  • あんな感じであれしたら二階堂さん逆に一生引きずるのでは?
  • 村山って免許とれんの?

主に爆破セレモニー関連に心中全力でツッコミ入れつつもちょっと泣いちゃったよね…。周りからザム2が超オススメだから円盤化したら絶対見てねって言われてて、すごくわくわくしながらリリース待ってる。はやく見たい。

 

見たあとにLDHの皆さんを見ていて感じたこと諸々

  • 三代目さんの色んなチーム複合感がやばい
  • あの人もあの人も踊っている
  • 刀のターミネーターが笑顔でシャキシャキ踊ってて怯える
  • ダンさんは中の人の踊りにもダンさん感がある
  • 片寄くんとジャニスト小瀧は同じ生産者が作ってますって感じの似方をしている
  • さのれおくんの「餓鬼・畜生ですよ」発言で味噌汁が気管にシュウウウウーッ!!
  • ダンスがちゃんと同じ方向性(関ジャニおじさんは各々で個性爆発しがち)
  • めちゃくちゃ好きなドラマでスモーキーと村山が共演してた…
  • ロッキーの中の人もめっちゃイメージ違うな
  • GENERATIONSさんの円陣がまじめ(関ジャニおじさんの円陣は……)
  • ジェシーの中の人のテンションが意外
  • 何回みても刀のターミネーターの人の笑顔に怯える
  • ELLYくんは三沢出身でフキのようなジャージを着てたらしいと知る
  • ジャニーズとの平均身長の差ア~!!!(みんな違ってみんないい)
  • ちっちゃく見えるNAOTOさんですら自担プラス5cm
  • 前髪至上主義過激派だからそこだけがちょっとつらい(オフショに期待)

あと好きなフィギュアスケーターのプログラムで使われてたのがEXILE TRIBEさんの曲だったと知りました。

youtu.be

びっくりしたよ!!! でも今なら「いや聞いたらわかるやろ」って感じだ!

 

色々見てみたいま、推しグループとかは決まってないけど、LDHの皆さんもおかわいらしいね…。かつんと同じような「だいたい(衣装等が)黒いよね」なイメージは消えないけどかわいい。こないだのおじぇねさんの番組は奇跡的に青森でも放送されました。録画したから今度休前日のご褒美として見てみよう。

ところで私、関ジャニおじさん出演番組はベタ録りのち外付けに保存しっぱなしなんだよねえ~~。大型歌番組とか、だいたいそのまんまで残ってるんだよねえ~~~~。出てるだろうねえ~~~~~~。どうしようかねえ~~~~~~~~…。やったね!!!!

あと関ジャニおじさんとハイローかけもちしてる人にとって8UPPERSと絡めて想像妄想繰り広げるってあるあるじゃないですか? 8UPPERSっていうのは関ジャニおじさんが演じる同じ孤児院出身の始末屋たちのところに赤ちゃんが舞い込んできちゃって大変だあっていうお話です。実質無理なんだから脳内でくらいコラボさせてもええじゃないか。せづねぇ。

 

二次元、ジャニーズ、フィギュアスケートモーニング娘。 そしてハイロー、LDH…。こうして色んな沼で溺れながら思うことは「世の中に、沼ではないジャンルではないのでは?」ということ。そして「私を知り尽くした友人知人のすすめてくるものは、間違いなく危険」ということ。

心して生きていきたいものです。がんばろうじゃん!

 

※新規も新規だから人名役名等間違いあったらすみませ~~~ん!!!

昨日見た夢の話

 すげーどうでもいい話なんだけどなんか書いておきたくなった。

 

 夢の中で、私は関ジャニ∞のコンサート会場に向かっていた。この期に及んでホール規模のツアーを行う彼らに内心「ふざけんなよ~~~この~~」と思いながらも、かつての47都道府県ツアーを懐かしんで少し微笑んだりしながら。会場に着き、さほど混んでいない入場列を経て、持ち物チェック、チケットのもぎりを済ませた。階段をのぼって二階からホールに入ろうと思っていた私の前に、いきなりジャニーズWEST重岡大毅が現れた。えっ。フラッグ振ってるジュニアの前で踊ってる。どうやらオープニングアクトのためにジャニストが来てるらしい。えっデビュー組が? スケジュール調整どうなっとんじゃ? オープニングアクトってホールに入る前の通路でやるもんだったっけ? まあ細かいことは気にしない。ホールに入る前にトイレに行っておこう。そこで事件が起きた。同じようなバッグを持っている人が、間違えて私のバッグを持って行ってしまったのだ。夢だからその経緯とか全く描写されてない。いきなりすり替わっててびっくりした。うわやべえ、と思ったのも束の間。違うバッグだと気付いた若いお嬢さん(かわいい)が、トイレの前でうろうろする私の前に現れ、無事にお互いのバッグを取り返すことができたのです。

 その後、肝心のコンサート場面ははしょられ(なんでだよ!!!!!!!!!見せろよ!!!!!!!!!!!!!脳!!!!!!!)私は終演後にとあるブログを見つけます。そのブログには「間違えておばさんのバッグ持ってきちゃった! ポーチの中プチプラばっかやねんけど笑 うける」と「ジャニヲタ他人のポーチ出し」が行われていたのです。ふっざけ!!!! お前!!!! 確かに90%プチプラだけどお前フューチャリズムとココシャインのボーイっていう、なけなしのデパコスをスルーするんじゃねえ!!!!!!!

 うわっ…うわっ…ってなってるうちに目が覚めた。そこでかよ! なんかこうスカッさせてくれんか。夢の中のコンサート見たかったし…もう…踏んだり蹴ったりすぎてめちゃくちゃもやもやしたのでその日はチーズフォンデュで己を慰めました(体に塗りたくってそうな文面)。

エイトコール速すぎ問題&物販列形成問題

 先日行われた関ジャニ's エイターテインメントジャム札幌公演に行ってきました! もうね~~~ここ数年で一番楽しかったかも! って感じでした。応援してるものの楽しい流れに乗れるってのは幸せだなぁ!

 

 と思いつつ、アンコールの催促である「エイトコール」にも微力ながら参加していたわけですが。はっっっっっっっっっやい! いやマジでちょっともうはや、速すぎ…ってなった。

 ちなみにTwitterでとってみたアンケートの結果はこんな感じ。

 これ「いつからのファンか」によってまた答えが違うかもな~。というのも、10年くらい前のエイトコールが「エイト エイト エイト エイト」って感じなら、今のエイトコールは「エイトエイトエイトエイトエイトエイト」って感じ。速い、そして隙間がない。空間を、休符を、余裕をくれ。油断してるとエスカレーターに乗るタイミングを逃しまくるタイプの私、焦る。そして息が続かないので裏打ちでの参加となる。ッエイトッエイトっつって。なんのリズムだよ。休符のクセが強いんじゃ。そんな感じで、時の経過と共にどんどん速くなってる傾向にあるわけですね。

 Twitterでよくあるじゃないですか、プリクラアイコンのエイターさんの「エイトコール参加してないおばさん多すぎんねんけど。ほんまなんのために来とんねん。それでもエイターか」的な発言。もう見るからに若くてパワフルであろうなという年代の方によるお怒りの声。

 でもね、おばさんからも言わせてほしい。全年代への参加を促すのであれば、ちょっとテンポ落としてみない…? そしたら参加者も増えて声がおっきくなって、ハッピ~~~~♡ っていうのは安直すぎる考えでしょうか。プリクラアイコン世代と思われるお嬢さんが近くにいたんですけど、その人達でもちょっとつらそうだったんだよね。そんなレベルで行われるコールにおばさん世代がついていけるか、つったらそこはだいたいNOってなるわけで。

 あ、前もって言っとくけど「じゃあおばさんはコンサート来るなよw」っていうのは将来の自分への呪いになるからね! やめておこうね!!!

 

 それともうひとつ、物販列について。だいたいこう「○列でお並びくださ~い」って感じで列形成されるじゃないですか。4列とか5列とかで。そうやって決められた列数で並んでるとき「どうしても友達と隣に立ちたいの」精神を迸らせる人達、いるよね。隣にいないとおしゃべりできないの、的な。みんな4列で並んでるのに、そこだけ5列になってる的な。んでその後ろが5列形成だと勘違いして、なんかグチャグチャした列になってる的な。

 前後に並んでてもおしゃべりはできるぞ、なんなら私は斜めに位置してても平気でしゃべるぞ。自分本位な行動で後ろの人達に迷惑をかけないように気を付けましょうよ~。人が密集する物販列で思いっきりスプレーぶっ放してた人もね~~。

 

 以上、コンサート本番以外の気になったことでした。

俺節について

 先日無事に全公演を終えた舞台「俺節」について、前置きなしに見終わってから思ったことなどをつらつらと~。

 

 北野先生、戌亥社長、テレサの台詞「客は歌い手の中に自分を感じるんだ」「板の上で見世物になる人間には隙間が必要だ」「コージは、コージと私でコージなの」これって全部つながっているんだな、と思いました。

 テレサと気持ちを通わせる前のコージは、あがり症ゆえに歌おうとしても途中で詰まってしまう。それでも気持ちを絞り出すように歌う声は心を震わせた。テレサという「手に入らない存在」を強く求めているからこそ。でも、テレサと一緒にいられるようになって、人前で普通に歌えるようになったコージの歌はどこかドライな感じだった。心みたいなものが感じられなくて「うまいけど、こなしているだけ」みたいな。オキナワを失い、テレサを失い、暗い部屋で歌った引っ越しの歌は「久しぶりに、コージが『歌って』いる」って思わされる。失ってしまったものを強く追い求めているからだ。ブーイングを受けながらアイドルの前座をこなして、帰ろうとしたコージの前にテレサが現れた。その途端にコージの歌に魂がこもる。故郷へと帰るテレサに送る歌は、今までのどの曲よりも強い力を持って、さっきまでブーイングしていたアイドルのファンまで黙らせた。曲の最後、テレサは飛行機に乗るため会場を去ってしまう。いなくなるテレサを求めて、求めて、コージは叫ぶように最後のフレーズを絞り出す。

 隙間だらけのコージは、何かを「求めて」歌うことで他人の心を揺さぶるんだ、と思った。何もかも満たされていてはそういう風に歌えない。相棒と恋人と、楽しく暮らしているだけでは客の中に「自分」を宿せない。コージとテレサは二人でひとつ。例え気持ちが通じ合っていても、その半身を失ったことでこれからきっと人の心に「自分」を宿していけるんじゃないか。コージの歌は本当の意味で「武器」になったんだな。って、そう思います。

 

 話題は変わるけど、テレサとコージのことを、色んな人が思わず応援してしまうの、わかるなあって思った。なんだろうなあ、いじらしいからかな…。そもそも純粋な悪人っていうキャラが少なくて、みんな愛おしいからな、そういう人達だから頑張ってる人がいると応援しちゃうのかな…。一幕最後の民衆の歌のような命くれないのシーン、ハガレンの「誰も俺たち兄弟に諦めろって言わなかったじゃないか」を思い出した。

 

 コージの気持ちの動きによる歌い分けが本当に見事で、安田章大という人間がこの舞台に立てた、この人を演じられたことが、私みたいなファンにとっては物凄い財産だなって思ってます。何度も何度も、悲しみじゃなくて気持ちが昂ぶったり、心があったかくなったりする涙を流した。やすくんだけじゃなくて、カンパニー全員を大好きになった。ほんとにほんとに、言葉では上手く言えないですけど…。できたらまた皆さんのお芝居を観たい。そう本気で思うような最高の舞台でした!!

 

 出演者の皆様、スタッフ・関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。