渋谷すばる

 変わったな~、って思ってました。誰よりもミュージシャン志向でありながら、頻繁に自分がアイドルであること、ジャニーズであることを口にする。ファンが喜ぶキメ顔を見つけたら頻繁にやって会場やテレビの前を沸かす。笑顔が増えて、事務所から怒られるような態度も減って。

 あれは彼のアイドルとしての「余生」だったのだ、きっと。ロスタイム・オブ・ジャニーズ。

 音楽やりたいって言ってた人のために、楽器なんてやったことなかったメンバーまで演奏を覚えて、ギターが変な音出したり打楽器ぜんぜん聞こえなかったり鍵盤の和音がグチャってなったり、そんなのも越えてみんなで音楽やろうぜって頑張ってフェスにも呼んでもらえて、この人たちを見てるのが本当に楽しいなワクワクするなって思ってたところで、発端になった人を音楽そのものにNTRれるとかあると思う?

 いや、正直ちょっと思ったことはあった。ずっと前に彼がバンドを組んだとき、バンドという存在にどんどんのめり込んで、いつかいなくなってしまうイメージが浮かんでいた。そのことで彼のファンと喧嘩になったりもした。あのとき私が疑ったりなんてしなければこんなことには、とありもしない因果を考えてしまう。

 じたばたしたって何も変わらない。わかっている。私は元KAT-TUN担なので。でもどうしてもじたばたしてしまうんだよな。だからこそ、余所様に何かあったときにせめて私たちだけでも無神経なことを言わずに行こうな、と思う。全く関係ない人や嫌いな人のファン相手だって、せめて塗り込むのは塩じゃなくて傷薬の方がいいじゃないか。例え私たちが人から優しくしてもらえなくたって。

 応援はする、理解もする、だけど諦めろって言われたら無理。そういう気持ちをズルズル引きずりながら、8人時代も7人時代も抱えていくしかないのだ。地球は回るし仕事は行かなきゃいけないし、旅行に行けば景色は綺麗だけど関ジャニ∞には彼がいないんですよ。そんな切ないことあるかい。それでも、生きねば、生きねば。

 歌が上手くて、Tバックと下ネタが好きで、口下手で誤解されまくって、カメラ回ってるとこで思いっきり屁をこいて、いかついビジュアルの時もクシャクシャな笑顔になれば愛嬌があって、仲間という歌詞にめちゃくちゃ力を込めて歌って、大好きだけど別れるとか言ってメンバーを悲しませて、それなのに背中を押させてしまう、自分勝手で、最高で、それが私の知る彼の全て。

 

 赤西仁はジャニーズ時代のことを「前世」と呼ぶ。NEWSは「一度死んでまた生き返る そんな魔法をかけられていた」と歌った。

 新しい道を進む彼の来世は、ジャニーズとしての自分を一度死なせて生き返る、星と同じ輝きを持つ、彼の名前は。