私がニットを着ていられる季節存在しないのではないか問題

 11月下旬、上野。少し歩いただけで私は汗だくだった。東北生まれ東北育ち、春夏秋冬いつでも新幹線から東京駅のホームに降りた時の感想は「暑い」の一言。そんな人間が、東京歩きの服装にニットワンピースを選んでしまった。

 何年か前の冬、私は池袋で買い物をした。次の日に着る服を探していて、色々試着しては友達に見てもらっていた。ニットを着たところ「あー似合う」「でも暑がりそう」と言われた。結局ニットではなくカットソー素材のワンピースを選んだ。それでもめちゃくちゃ暑かった。もしあそこでニット選んでたらどうなってたんだ。こわい。

 東京を暑いと思う人間がニットを選んではいけない。戒め。わりと毎年こうして戒めてるのにいちいち選んでは顔真っ赤っかになってしまう。なぜ同じ過ちを繰り返すのか。着たいんだもん…かわいいニット。中にエアリズムを着ても駄目だった。ニットのインナーにエアリズム。うまいこと打ち消しあってくれないか、という儚い期待でした。バカ。

 東京でニットは着れない。じゃあ地元はどうか。まあ外にいる時はいいよ、寒いし余裕で着ていられる。屋内に入ると一気に危険度が上がる。あちい。暖房ガンガン。コートを脱ぐ。それでも暑い。よく行く調剤薬局とかマジで地獄。汗、汗、汗。外に出る。汗冷える。体調終わる。はい。

 地元の電車の場合はどうか。席に座る。タイツが溶けそうなくらいの熱風がふくらはぎに叩きつけられる。暑い。汗。はい。

 季節別に見ていこう。

  • 春、あたたかな空気の季節。無理。
  • 夏、36℃の地元、サマーニットでも無理。
  • 秋、まだ寒くなりきってない気温、やうやう強くなりゆく暖房、無理。
  • 冬、前述の通り屋内暖房大活躍。無理。

 無理じゃねーか。

 

 ニット、かわいい、着たい。三語で辿々しく発言したところで己の体質が変わるわけでもない。冬の夜行バスでも半袖がデフォの人間に、ニットなどという毛糸を編んだ保温力の高い服は合わないのだ…。なんならスウェット素材でも暑がる。体型変化のせいかとも思ったけど、昔から極度の暑がりだからきっとあんまり関係ない。

 いやじゃいやじゃ! かわいいニット着たいんじゃ! 駄々をこねようとも汗は出る。諦めるしかないのか。お高いニットはどうなんだ。探求は続く。諦めない。そして私はまた汗をかくのだろう。いつか誰かが私と会ったとき、もしニットを着ていたら、そして真っ赤な顔をしていなかったら、どうか一言「おめでとう」と言ってあげてください。はたしてそんな日が来るのかどうか、今はまだわかりませんが。